私は19年前に起業してから幾度もの破産状況(実際はしていない)を乗り越えて、決して諦めることなく迫害、困難を打ち破ってなんとか生き残ってきた。
その時を生きるので忙しくそれ故に忘れてた『死』というものを初めて身近で感じてしまったとき、今の私ではどう頑張ってもそれを克服することができない問題だと痛感し悔しさと、もうくろと会えないのだという悲しさ・寂しさで、てんかんを発症して以来幾度となく大泣きしてしまった。ある程度気持ちが済んでいるのか、それともまだ旅立っていないからなのか判らないが今はある程度落ち着いて、涙も鼻水もティッシュ2枚で収まる感じだ。
今回、くろが残してくれた大きいお土産であるチャンスをしっかり掴み莫大な富を得たとき、不老不死の薬の研究もやりたいと思っている。
あれから、最近の毎日の日課になってきた「体拭き」をしてあげた。
体をひっくり返して両方拭いてあげる。すると、やはり気持ちいいのか幸せそうな顔をしてくれる、喜んでくれると本当にうれしい。枕を作ってあげてそこに頭を乗せて、背中に少し冷たい保冷剤のタオルを押し当ててあげる。
時折、痛いからなのかそれとも床が温まり冷たいところを求めるのか、むくっと起き上がり1,2度か弱く鳴いて時間を掛けて少し移動する。
移動すると私は枕を頭の下に用意してあげる。
しばらくすると私がここに居るのが不安なのか、トムが心配そうにやってきた。
くろの様子を見ていると、目を開けたままあちらの世界を見ているようだ。視線を遮っても目を全く動かさないからだ。しばらくすると今の世界に戻ってきて意識が戻り、か弱い鳴き声を出して私たちの存在を確認しているようである。
そろそろ、抗てんかん薬の時間だと思い薬を溶かして与えられる状態にしておいた。しばらくしてくろが動き出したので、今回は寝返りを打ちたい様子でもないのでトイレに行きたいのかと思い抱き上げてトイレの前まで連れて行ってあげた。
そのままトイレに体を入れて、体は私が支える形でおしっこしないか頑張ってみたのだが結局しなかった。一旦トイレの前の床に横になってもらった。
もう1つの可能性は、水を欲しがっているとも考えられるので先ほど溶かした抗てんかん薬をシリンジに入れて、唇のところに1滴垂らしてみた。しばらくすると、舌でそれを飲み込んだので飲めるのかも知れないと思い、2滴目、3滴目と試したのがが今度は受け付けず口から垂れてペットシーツに落ちた。
ここまで弱ってきたのか・・・と悲嘆し、またお風呂場に戻してあげた。
もはや飲むこともままならず、奇跡は起きないのだと落胆した私は、もう用のない便秘薬の残りを捨ててビンを綺麗に洗った。