あれから30分ほどだろうか、これまでの感謝の気持ちと、自分が思い出しうる限りの飼い主として至らなかった事への謝罪と、置き土産としてくれたチャンスをしっかり今後は猫のために使うことの約束などを奥さんに聞かれるのが嫌なのでひそひそ声で直接くろに語りかけて聞かせた。声を出せば間違いなく、くろは聞いているから理解してくれていると思っている。
くろもも姉妹がうちにやってきてからの事を思い返していた。思い出話は長くなるのでまた後日改めることにする。
語り終えてから、くろの近くに用意したベッドで横になったのは午前2時くらいだろうか。1時間ほどうとうとしていると特製BOXから出てきていたのでトイレに行きたいのだと思い、リビングのトイレ前まで抱きかかえて運んであげた。
『しっこするかな』と30分ほど眺めていたら体制を変えたので、『しないのか』と思った。
1つ1つのアクションが精一杯で余力がないことが痛いほどわかる。4時頃に、奥さんの部屋に移動したので私も移動しマッサージチェアに座って眺めていた。
そこで寝始めたので私も少しうたた寝をすることにした。
5時頃、『カシャカシャ』と爪が滑る音がするのだが私は夢の中にいたのでしばらく気がつかずにいたら、くろが今までに聞いたことのない声で『にゃーん、にゃーん』と鳴くのでようやく気がついた。その声は、挫折し助けてほしいという救いの鳴き方であったように思う。くろが移動したがっていたが立てずに居た。『そんなに衰弱してしまったのか・・・・』と絶句し、特製BOXまで抱き上げて運んであげた。
丁度おしりがこちら側なので体温を測ってみることに。
『おおっと・・・』また絶句した。あれからトイレをしていないので『そろそろするはずなんだけど』と不安を抱えながら、私は疲れてきたのでまた少しうたた寝をした。
6時頃、『ぴちゃぴちゃ』水を飲む音で起こされてくろを確認した。
異変が起きてから、最も多く水を飲んでいた。『体を冷やしたいのだろうか』という疑問を感じながら様子を伺っていたところ、特製BOXから這いずりだして用意したばかりのトイレに向かっていた。
倒れないように手伝っていたのだけど、やはりいつものトイレでしたいのか出来ずに挫折して横たわったのでリビングのいつものトイレまで抱き上げて運んだあげた。
『するかな?できるかな?』と心配しながら猫の尊厳を傷つけないように様子を見ていた。数分後、なんと起き上がり自ら用を足した。
これでしばらく寝るだろうと思い(私も寝れる)、特製BOXまで運んでベッドに寝かしつけた。私もまもなく寝た。
そこから数時間だろうか、寝ていたらももが発情したようなうるさい鳴き声でわめきまくっていたので起こされた。老猫になってからはくろもももも、耳が聞こえない、目が見えない等の老化現象による不安でうるさかったのだが今朝は特にうるさかった。昼を過ぎてもまだうるさいのだが、相方がもう先長くないと感じているのだろうか。
特製のベッドから起きると、私の右側からかわいい甘えた声で『にゃ~ん』というので見るとまめが側で寝ていた。
トムが寝るときにいつもへばりついて寝るようになってから、まめはほとんど一緒に寝てくれなくなったので少し距離は空いているもののうれしかった。
書いている内に、抗てんかん薬を与えるのを忘れていることに気がついた。溶かしてあげることにする。