奥さんがまだ起きてこないので、葬儀用の写真をどれにしようかとモニタを眺めていた。これまで忙しさもあったのだが、写真に映っている過去の部屋の状況が見て取れるのでその頃の苦しさを思い出したくない事が主因としてあったので、撮影してデータを撮りためるものの全く整理してこなかった。他の子たちについても同様で、これから整理していきたいと計画している。
1枚ずつ確認して、重複しているもの、ピントが合っていないものを削除して整理していくのも並行して行った。それで選び出された写真が、次の写真で、2009年4月に撮ったものでこの頃が一番太っていたかも知れない。今の奥さんと、くととももしか居ない時代だ。
写真を見て回って選び出したときに、過去のくろたちとの思い出がこみ上げてきてまたしても号泣し始めた。ティッシュで鼻をかみゴミ箱に捨てようと椅子を回転させたら、まめがこちらを心配していたようで目が合った瞬間に『にゃーん』と鳴いてきた。猫に気持ちが伝わるのである。それが本当に可愛くて仕方ない、猫の魅力である。
くろ、ももと3人暮らしの時、私は一生独身な気がすると思っていた。人間より遙かに可愛いからだ。
葬儀屋さんに電話しようとしたのだが、先ほどから私が泣いて言葉が発せられない状態(くろについての話が出ると泣いて喋れなくなる)になっていたので奥さんにお願いした。予想に反して、今日は予約で埋まっている。明日も午後は予約済みとのことで、明日の午前中に火葬をお願いしたので1日順延となってしまった。『こんな狭い島でも、こんなにペットの火葬があるんだなぁと』意外だった。結局葬儀用に画像がいらなかったので選び出したこの画像は思い出の中のお気に入りの1枚ということになった。
延期になってしまったことも有り、クーラーボックスの氷が溶けてしまっているので昨日再冷凍した保冷剤と差し替えるためにボックスを開けてくろを確認した。もし汚れていたら綺麗にしてあげようと一緒に確認したところ、口からは体液が出ていなかった。奥さんはくろを抱き上げて頭をなで始めたので、私も続いて撫でてあげた、くろは冷たくなっていた。
昨日の氷を入れたジップロックはほぼ水になっていたので再冷凍するために、私はそれを冷凍庫に放り込んだ、また明日使う。クーラーボックスの一番下に保冷剤を入れ、その上にくろをタオルで包んだ上で水に濡れないようにビニールを被したものを安置して、更にその上にアルミを敷いて、更にその上に保冷剤を置いてクーラーボックスを閉じた。
すると、奥さんはバルコニーを向いて私から顔が見れない状態ですすり泣きを始めて段々と大泣きになっていったので、私ももらい泣きをしてしまった。私はティッシュボックスごと持ってきて1枚自分用に抜いた後、奥さんに渡した。
風邪を引いたときのようにひどく鼻をかむので、鼻が痛くなっている。
しばらくして私は、急遽こしらえた簡易猫用トイレを1つ片付けるべくベランダで砂を移した。左側が元々園芸用で、廃止し右側にまとめた。
それから私は明日の火葬の際、くろの思い出の品を棺に入れてあげようと部屋の中をあちこち確認して歩いたのだが、2年前に引っ越した際に古いものは大体捨ててきたので何もないことがわかった。首輪ももう長らくつけていない。くろの晩年はおもちゃ遊びもしなくなっていたので、特に何かモノに執着することがなかったようだ。諦めざるを得なかった。
旅だった日から49日は、くろの魂はこの自宅に居る。その後、土に返してあげるとのことでどうしようか悩んでいたのだがまだ先の話なのでそのうち考えると言うことになった。
朝早いのが苦手なのだが、明日のくろの葬儀はしっかり執り行ってあげたい。